letter
 — Vol.04

林厚見氏から竹本吉輝へ2

September 13th, 2013

竹やん、普段よりだいぶアゲ気味なコメントをいただき恐縮です。
まあ僕らが二人で話をするときは確かに大抵たいした用件はなく、
その場で頭に浮かんだネタを適当に出しあっているうちにそれなりの発見があるというパターンなわけだけど、多分それはお互いの頭の中の、すごく感度が高くてキモチいいところを順番にコスり合うような関係というか相性、ということなのでしょうな。
僕らはこれから仕事としてカラみ合ってこうぜ、という話になってきたわけだけど、
なんでそうなったのかを考えてみたら、確かに互いのチームの仕事なりテーマに共通点や補完関係があったことももちろんなんだけど、
僕個人としても、そういえば昔から、自然の中にいるのが人並み以上に好きだったということを思い出したのです。

30年近く前、中学に入ってエロQが高まり始める頃、僕は一方で星を見るのが好きなピュアな宇宙少年で、しょっちゅう仲間と山の中で天体観測をして夜を明かしていました。
大人になってからは気合いが足りず、あまり山にも行っていないのだけど、基本的に、大自然の景色は綺麗な女性よりもプライオリティ高いのです。(嘘じゃないょ)

宇宙の仕事は自分には難しすぎて厳しいことを早々に悟り、その後は気づくと興味が建築へ向かい、そして大学の卒業設計では乗鞍岳の山頂付近に自然や夜空と対峙するためのホテルというのを企画したんだけど、
途中で「建てなくていいじゃん、自然のままでいいじゃん」と頭が混乱して失敗に終わり、その後は「建築道」からもいったん逃げを打ったのでした。

そうしてなんだかんだと色々悩み学び遊んだあげくの果てに、不動産とかリノベとかやりながら、家だの街だの社会システムだのうだうだ考えていたところへ、
竹やんから、都市と自然、森と町はそもそも共に支え合ってるんだ、という話を持ってこられたというわけです。
我ながらなるほどというか、自身にとっての必然感は充分あったんだなと、改めて思っております。

日本の町のフツーの家や店の空間が、これ以上ペラペラでツルツルになってしまって、
”触ってキモチいい”、”感じる空間”じゃなくなっていったら、まずい。何かが死んじゃう。
それに対して反撃をしていこうというのが、ひとまずこちらのテーマです。
続きは、また。

プロフィール紹介

林厚見 Atsumi Hayashi

株式会社スピーク共同代表。「東京R不動産」では主に事業面のマネジメントを担い、他に不動産開発・リノベーション等における企画・プロデュース、新島のカフェ・宿「saro」の経営などを行う。1971年東京生まれ。東京大学工学部建築学科、コロンビア大学建築大学院不動産開発科修了。マッキンゼー、不動産ディベロッパーを経て2004年吉里裕也と株式会社スピークを設立。共編著書に「だから、僕らはこの働き方を選んだ」「東京R不動産2」「toolbox」等。

竹本吉輝 Yoshiteru Takemoto

1971年神奈川県生まれ。横浜国立大学国際経済法学研究科修了。外資系会計事務所、環境コンサルティング会社の設立経営などを経て、2009年、株式会社トビムシ設立。10年、ワリバシカンパニー株式会社の設立に参画。13年、株式会社東京・森と市庭を設立、代表取締役就任。専門は環境法。国内環境政策立案に多数関与。同時に、財務会計・金融の知見を加味した環境ビジネスの実際的、多面的展開にも実績多数。立法(マクロ政策)と起業(ミクロ市場)で双方の現場を知る。