letter
 — Vol.03

竹本吉輝から林厚見氏へ2

September 6th, 2013

どうも、竹やんです。
たしかに、「君はあのときこういったよね・・」モードは恥ずかしいかも。
なので、「とりあえず往復コラムくらい」な提案、了解。
なので、コラム的(でも往復感が多少ある感じ)にはじめるとして、まずは(ざっくり)林くんとの日常的在り様、その心象を。

林くんが経営の一翼を担う会社、R不動産は、まさに「いまここ」において、大いなる飛躍を前に(彼はこうした表現を好まないと思うけど)、その体制や新規事業(会社)を整える、そうした段にある(と思われる)。
そして僕らも、会社としての歴史や事業規模、その厚みみたいなものは異なるけれど(僕らの方が、歴史が短く規模が小さく厚みが足りないけれど))、同じく、その体制や新規事業(会社)を整えつつ、次のフェーズに入ることを模索する段にある(はず)。
そんな折、林くんとは月一ぐらい(なゆるい感じ)で、打ち合わせ(という名の対話)をさせてもらっていて。そしてそれが、とてもあり難いと思っていて。

なにがあり難いかというと、まずなにより論理的なこと。そしてニュートラルに前向きなこと。対話において、自らの話しを遮られ質問されるような場合、とかく説教(的な)モードとなる(嫌な)予感が脳裏を掠める。けど、林くんの場合、まったくそういう(自らの思いこみや思いつきを短絡的に正当化するための質問を投じ、決して思いこみや思いつきではないと思いこんだ、思いこみや思いつきを提示する、そんな)ところが一切なくて、単に、彼が(正確に)思考するための情報が足りなかったり、話し手(僕)が論理的でない、あるいは論理に飛躍があったりする場合に限られる。つまり、話し手の伝播力あるいは伝播の質に問題がある場合に林センサーが(即座に)作動する、ということ。で、同センサーに引っ掛かったことへのWarningとして質問が発せられる、ということ。
これは、実際に(本当に)とてもあり難い。気がつくと業界(?)常識に囚われがちなand/or情報の非対称性に基づいた、要は、無駄に専門的な自己の論(理とはいえないモノを含む)が正当であることを認めてもらおうと(僕は)がんばっちゃうのだけれど、そうした論に対し林くんは、ニュートラルに前向きに、いくつもの質問をする。してくれる。なんでどうして本当に、と。
つまり林くんは、目の前に展開する(言葉として発せられる)現象の先にある「構造」を(ある意味で無邪気に、ある意味で大人に)ちゃんと理解したいのだと思う。その上で、必要な範囲でコメントする、示唆する、みたいな(不要なことはいわない、みたいな)。そして、この「ニュートラルに前向き」というのが(ある意味で)味噌。聞き手(林くん)が、そもそものところで「ニュートラルに前向き」な姿勢を明確に(表情や口調や空気感などを通して)伝えてくれるので、話し手(僕)はまず以て精神的安心感を得ることができる。人は相手が(伝える論に対する直接の)利害関係者でなかったとしても、とかく自らの論が否定されないように否定されないように話す傾向にある(と思う)。そのため、決して間違っていないということを伝えるのに精力を割きがちで、事の実、対話を愉しむこともなければ、対話を通じた自論の仮説検証さえも怠ってしまう、という不毛な時間を過ごすことにもなりがちだけど、林くんの(平易な普段着な)スタンスのお陰で、僕は、いつもその対話自体を愉しみながら、いくつもの足りない視点や要素に気づくことができる。
綴りながら思うに、これはやはり(相当に)あり難いことなのだ。

と、ここで読み返してみて、最近やたら出版業界に貢献している某戦略系コンサルティング・ファーム出身者的匂いが(本書簡中に)充満していることに気がついた。

いやいや、林くんはいわゆるロジカル人間では決してない(じゃあ、これまでの記述はなんなんだ)。そしてエロい。そもそもその低音美声からしてエロい。書簡終了間際に、なにをいまさら、な感じだけど。
ので、次回以降は、その辺り(?)も深掘りしつつ、属人的関係性(論)はもちろん、事業的連携可能性(企て系)などについても綴っていきたいと思う。

ので、その旨、よろしく。

photo by 鎌田耕慈

プロフィール紹介

林厚見 Atsumi Hayashi

株式会社スピーク共同代表。「東京R不動産」では主に事業面のマネジメントを担い、他に不動産開発・リノベーション等における企画・プロデュース、新島のカフェ・宿「saro」の経営などを行う。1971年東京生まれ。東京大学工学部建築学科、コロンビア大学建築大学院不動産開発科修了。マッキンゼー、不動産ディベロッパーを経て2004年吉里裕也と株式会社スピークを設立。共編著書に「だから、僕らはこの働き方を選んだ」「東京R不動産2」「toolbox」等。

竹本吉輝 Yoshiteru Takemoto

1971年神奈川県生まれ。横浜国立大学国際経済法学研究科修了。外資系会計事務所、環境コンサルティング会社の設立経営などを経て、2009年、株式会社トビムシ設立。10年、ワリバシカンパニー株式会社の設立に参画。13年、株式会社東京・森と市庭を設立、代表取締役就任。専門は環境法。国内環境政策立案に多数関与。同時に、財務会計・金融の知見を加味した環境ビジネスの実際的、多面的展開にも実績多数。立法(マクロ政策)と起業(ミクロ市場)で双方の現場を知る。