letter
 — Vol.09

竹本吉輝から 林厚見氏へ5

December 13th, 2013

林くん、
引越し後の新しい生活、いい感じに過ごせてるでしょうか。
忘年会は難しいので、ぜひ、新年会@新居(御宅)、をお願いしたいところ。

しかし、三浦の件、こうして(単なる個人ブログとはいえ)メディア上で発表するとは、「人に話さないとコトが始まらないたち」であるにしても、いよいよな感じ。この話し、道玄坂の一室ではじめて語らった時から聞いているので、結構気になる(なり続けてる)。湘南江ノ島でなく、鎌倉でなく、そして逗子葉山でもない、三浦、なところが、林くんっぽく感じられて、特に。
僕ら、天邪鬼ではないけれど、いわゆる王道は外すよね。間違いなく外す。王道が嫌だ、というわけでもないけれど、やっぱり外す。じゃあ、奇を衒うのが好きなのか、というと、それ(と)も違う。いや、こうした論旨がそもそも間違っていて、互いに、世間の目や社会的評価で何某の意思決定をするんでなく(もちろん、事実としてそんな評価がある、みたいな理解把握はするけど)、自分にとって素敵と覚しき(林流だと快楽の)感覚で道や術を選んでいる、というだけなのかもしれない。がゆえ、決して、王道を避けたり、奇を衒ったりではなく、ピュアに「三浦」な選択をしているんだと(思う)。
toolboxを次の形にしていく」のもたぶんそう。詳しくは、いつか林くんが語れる段で、語れる範囲で、と思うけど、この「次の形」も、いままで話しをしてきている限り、いわゆるEC(ビジネス)の王道とは異なる、リアルとバーチャルの二元論でもない、とてもユニークなカタチになっていくんだと(思う)。それが、ユーザー的視点であれ、ビジネス協働的視点であれ、僕個人にとって、率直に面白いと感じるところ。

いま、東京・森と市庭も、来年以降の「形」を精査し整えているところ。林業や木材(加工)業の王道とは程遠い「形」、それは、不動産業でも観光業でも飲食業でも教育研修業でもなく、もちろん、そのInter-でもない。広大な森と巨大な都市を有する東京、その一体性と同期性を再現するに必要なあらゆるコト、を、優先順位と相乗効果を図りながら、そして、自分たちですべきコトすべきでないコトできるコトできないコト(他の仲間と協働すべきコト)を区分しながら、その「形」を浮き彫りにしていて。
ただ、奥多摩の、厳然たる事実として、何とかしなきゃいけないコトとして、(林業周り以外のモノとして)食と宿がある。それらは「快楽」に直結するし、森を訪れた人たちの心象に大きな(ポジティブにもネガティブにも)影響を与えるし、なコト。なのに、それらが(いい感じに)整っていない今の奥多摩の状況はちょっと(どころでないほど)ツライ。これは、森と市庭が、本来、積極的に「すべきコト」ではないけれど、訪れてくれた人たちに、「残念ながら、この土地でそうしたことは期待できません…」なんて(いつまでも)言い訳してる場合じゃない。から、奥多摩全体の空間的価値、延いては森と市庭の価値を高めるために「すべきこと」として、「できる(ようにすべき)コト」として、やんなきゃいけない。というと、戦略戦術的マーケティング的に聞こえるかもしれないけれど、そう(なだけ)ではなく(やはり)自分にとってそれがあって欲しい、ないと楽しくない、という感覚がその起点。なので、サローの経験を含め、もろもろアドバイス(思考方法含む)をもらいたく。だって「快楽サステナブル」そのもの、なのだから。
王道ではなく奇を衒うでもない、快く楽しい感覚、いわゆる「三浦」的な発想で。って。なわけで、次回の打ち合わせは(本当に)よろしく。

追伸 誕生日おめでとう。42歳という1年も、引き続きよろしく。

画像出典:http://www.realtokyoestate.co.jp/estate.php?n=8266

プロフィール紹介

林厚見 Atsumi Hayashi

株式会社スピーク共同代表。「東京R不動産」では主に事業面のマネジメントを担い、他に不動産開発・リノベーション等における企画・プロデュース、新島のカフェ・宿「saro」の経営などを行う。1971年東京生まれ。東京大学工学部建築学科、コロンビア大学建築大学院不動産開発科修了。マッキンゼー、不動産ディベロッパーを経て2004年吉里裕也と株式会社スピークを設立。共編著書に「だから、僕らはこの働き方を選んだ」「東京R不動産2」「toolbox」等。

竹本吉輝 Yoshiteru Takemoto

1971年神奈川県生まれ。横浜国立大学国際経済法学研究科修了。外資系会計事務所、環境コンサルティング会社の設立経営などを経て、2009年、株式会社トビムシ設立。10年、ワリバシカンパニー株式会社の設立に参画。13年、株式会社東京・森と市庭を設立、代表取締役就任。専門は環境法。国内環境政策立案に多数関与。同時に、財務会計・金融の知見を加味した環境ビジネスの実際的、多面的展開にも実績多数。立法(マクロ政策)と起業(ミクロ市場)で双方の現場を知る。