志をともにするたまに会う人との話

池田紀行さんと、「地域のマーケティング」放談。

2002年に池田紀行さんが若気の至りで書いた本を読んだ竹本が、深夜に熱いラブレター(メール)を送ったことがきっかけで、「イケ」「タケ」と呼び合うともだち同士になった二人。久しぶりに会って、デジタルマーケティングの潮流から、地域のマーケティングのあり方、これからの生き方まで、ゆるく語らいました。
(この対談は2014年9月に行われました。)

第7回 僕たちの生き方の未来

池田

地方への流れをつくるには、
「住まう」ことを再考するって大事だと思うのよ。
俺は、高速道路を車で走っていると不思議に思うんだ。
この首都高と幹線道路に面していて、
とってもうるさそうなマンションの、
しかも角部屋に住んでいる人は、
この部屋を見に来た時に、いったいなぜ、
「うん、ここはいいね!」って言ったんだろう?

竹本

(笑)

池田

東京には電車も高速道路も
たくさんあって、いたるところに家がある。
つまり、騒音に悩みそうな場所に家がたくさんあるよね。
朝、鳥のチュンチュンって声で目覚めたい
俺みたいな人間は、絶対そういうところを
住むところの候補に入れない。
でも、世の中には住むということに
こだわりがない、関与がない人もいる。
俺は、いつか逗子か鎌倉に引っ越したい、って思ってる。
仕事で通うのがたいへんだからいまは引っ越さないけど。
だけど、もし引っ越したら
生き方が劇的に変わるわけだよね。
朝から散歩しちゃったり、
浜辺で柴犬とモフモフ言っちゃったりして。

竹本

柴犬とモフモフ(笑)

池田

住まうところによって、
人間の人生って大きく左右される。

竹本

世の中の空気で言えば、住まい方もそうだし、
「働き方」みたいなものもあるよね。
働き方を変えようっていうムーブメント的なもの。

池田

うん。

竹本

住み心地のよい家に住むとか、
どう働くかとか、
家族とどう時間を過ごすかとか、
どんな人生を送るかとか、
そんなことを考えた時に、
都市じゃなくて地方に住むってありだよねって
思う人は増えているのかもしれない。
でも、なんとなく思っても、
具体的に考える前にやめる人がほとんど。
そこを深堀して、せめてまずそこに行ってみる
っていうとこまでいけばいいよね。

池田

そう、転職市場も活性化しているしね。
だけど、転職をするときに、
地方で働くってまだ選択肢に入ってこないよね。
「選択肢化」って大事。
旅行代理店の人に聞いたんだけど、
夏休みの旅行先に選ばれるかどうか、
事前に3つくらいに絞り込んだうえで、
検索して比較して決められるんだと。
その3つに入るかどうかで勝負は決まってしまう。
転職する人がこれだけ増えている中で、
どうせ転職するだったら、住むところも変えちゃおうか
って選択肢に入れる人が1%でも2%でも増えればね。

竹本

いや、1%でもでかいよ。

池田

その人たちが検討するだけでも、
世の中変わってくると思うんだ。

竹本

そうだよね。
あ、もうそろそろ時間だ。
今日はありがとう。
じゃあ、終わりまとめて。
なんか良いこと言って(笑)

池田

え、何?良いこと言え?(笑)
とにかくそういう流れが来ることは間違いないので、
あとは、トビムシにかかっているんじゃないですか?

竹本

はははは。

池田

いやほんとに。
デジタルマーケティングの未来と一緒で、
決まっているんだ。
われわれの働き方とか住まい方とか生き方って
昔の猪突猛進、オラオラ系になることって
もう絶対にないわけじゃない。

竹本

うんうん。

池田

どんどん多様化していくし、
目指している世界に近づいていく。
それが、俺らが死んだ後に実現されるのか、
それとも俺らが目の黒いぴちぴちでがんばっている
50くらいでうちに成し遂げるのか。

竹本

50はぴちぴちなのか(笑)

池田

でも、俺ら40年後には死んじゃうわけだからさ。
目の黒いうちに、そういうことがね、できるといいね。

 
 
おわり

« 前の回

プロフィール紹介

池田 紀行 Noriyuki Ikeda

株式会社トライバルメディアハウス代表取締役社長。1973年横浜生まれ。マーケティング会社、ビジネスコンサルティングファーム、マーケティングコンサルタント、クチコミマーケティング研究所所長、バイラルマーケティング専業会社代表を経て現職。
ソーシャルメディアマーケティング、キャンペーンプランニング、ソーシャルメディア効果測定、ソーシャルメディアリスク対策、戦略PR、広報効果測定などにおいてメディア取材・寄稿、講演・セミナー講師など多数。宣伝会議、JMA(日本マーケティング協会)、JAA(日本アドバタイザーズ協会)講師。『次世代共創マーケティング』(SBクリエイティブ)、『ソーシャルインフルエンス』『キズナのマーケティング』(アスキー・メディアワークス)、『ソーシャルメディアマーケター美咲Ⅰ/Ⅱ』『ソーシャルメディア白書2012』『Facebookマーケティング戦略』(翔泳社)、『フェイスブックインパクト』(宣伝会議)など著書・共著書多数。

竹本吉輝 Yoshiteru Takemoto

1971年神奈川県生まれ。横浜国立大学国際経済法学研究科修了。外資系会計事務所、環境コンサルティング会社の設立経営などを経て、2009年、株式会社トビムシ設立。10年、ワリバシカンパニー株式会社の設立に参画。13年、株式会社東京・森と市庭を設立、代表取締役就任。専門は環境法。国内環境政策立案に多数関与。同時に、財務会計・金融の知見を加味した環境ビジネスの実際的、多面的展開にも実績多数。立法(マクロ政策)と起業(ミクロ市場)で双方の現場を知る。