転換の起点 brighten the forests, brighten our future

「小村力(しょうそんりょく)」。自然と人の関係、人と人の関係を改め、自然そのものの価値を高め、その恵みを分かち合いながら、ローカルコミュニティ自らが持続性を高めていく。たとえ分かち合うというプロセスに貨幣が介在したとして、その起源は自然の豊かさであり、関係性の豊かさであることから、グローバル経済における貨幣価値変動から離れた、本来的な価値創造、価値認識が可能となる。そんなローカルコミュニティが増えれば、その力を高めることができれば、いつの日か、この国の価値(認識)が変わる。そしてそれが、いつの日か革命となる。「小村力革命」。そんなことを企て、この夏に立ち上げたのが「小村力研究所」。そんな企てに共感実行する人を集ったのが「小村力開発塾」。
同塾がニシアワーの地で(1泊2日で)開かれ、そこに僕も講師として参加した。告知期間1カ月に関わらず、参加費6万円(西粟倉までの往復旅費は別途自己負担)、決して安くない受講料に関わらず、9名の方々が参加。そして自治体職員の方さえ自費参加という、小村力を高めるべく強い意志を有した(年齢的・職業的・地理的)多様性溢れる面々が集った。皆々、自らが在る地域の未来に対する希望と責務を抱きながら。
小村力を創り高めるこうした集いが5年続き、そして10年続いたら、とても面白いことが起こる。解像度は決して高くないけれど、でも視えなくもない未来像(妄想)に、ついつい頬が緩む。

西粟倉・森の学校が、この7月創業以来はじめて単月黒字となり、下期の半期黒字が確実視できるようになり、来季の単年度黒字がみえてきた。リーマンショック直後に林業木材業で起業したトビムシ、林業機械も製材機もない、林業木材業経験者さえいない、そんな組織の、そんな事業の未来がみえてきた。その解像度は(やっぱり)まだまだ低く粗いけれど、視る人によっては単なるone small stepであるけれど、小村力革命の文脈でみれば、one giant leapであると、僕、僕たちは信じている。国土の7割弱、過疎地域でいえば(離島を除けば)そのほとんどが森林、そこで林業木材業が事業として成り立ち、その周辺(農業や観光他サービス業)で起業する人が増え、結果的に未来を創り拓く若者が増える。森林資源(木材)が素材としてエネルギーとして活用されることで(見捨てられていた森に手が入ることで)森が、森の生態系が豊かになり、水資源が豊かになり、農作物も川魚(下流域の沿岸漁業)も豊かになる。域内循環、域内自給、流域互助、その道程は決して緩やかではないけれど、豊穣たる自然、美しい風景、その在る関係性を解き紡ぎながら、少しずつ少しずつ。喜びをもって。愉しみを懐いて。

いつの日か、「グローバル金融資本主義における奪い合う経済」から「ローカル自然資本主義における分かち合う経済」への転換、その起点はあの頃(あの出来事)だったんじゃないか、なんて云われることを夢想しながら、小さくも小さいながら未来への希望を懐くsmall villageを歩き続ける。そう、いまこの日も、しまなみ海道を渡りながら。

追伸 小村力開発塾参加の皆々さま方、2日間、本当にお疲れ様でした。皆さまとの再会を、そして語らいを、心より愉しみにしています。