ロフトワーク林さんと、わくわくする企みごと。
2013年、奥多摩の森を舞台に事業をはじめた株式会社東京・森と市庭。そこにいちばん最初に遊びに来てくれたのは、ロフトワークというちょっとへんな会社でした。その夏の合宿の様子はロフトワークさんのブログをご覧いただくとして。それから数カ月後、奥多摩の紅葉真っ盛りの秋、ロフトワーク共同創業者の林千晶さんを訪ねました。トビムシとロフトワークという、ひと言では説明しづらい会社の代表同士が、合宿のこと、お互いのこと、これからのことを話しました。
(この対談は2013年11月におこなわれました)
画像提供:ロフトワーク
第5回 わくわくするでしょ
逆に、最後にひとつ質問したいんだけど。
なに?
ロフトワークって今後どこにいこうとしてるんですか?
あのねえ・・・、世界。
「世界」。
うん。ロフトワークって・・・
私と(共同創業者の)諏訪にとっては
会社作りの実験だったのね。
自分たちがわくわくする
インターネットとデザインで仕事をしたい。
インターネットができる領域が広がっているので、
ロフトワークがやれることも広がっている。
デジタルファブリケーションもインターネットがあるからできる。
だから、ロフトワークの領域が広がってるんじゃなくて、
インターネットとデザインでできることが広がってるから、
ロフトワークができることが広がっていってる。
なるほど。
インターネットと、デザイン、クリエイティブが重なるところが
わくわくするところなんだよね。
それをビジネスでやってみようっていうのが13年前。
そして、いま一番意識しているのが・・・、
やれることはまだまだたくさんあるんだけど、
わくわくするっていう気持ちをみんなが一番大切にしながら、
もちろんクライアントも一緒にわくわくさせて、
いい未来をつくっていける組織であり続けること。
それが一番大きなチャレンジ。
うん。
でも、例えば、
「20人のクリエイター集団」って精鋭っぽいじゃない。
だけどさあ、「渋谷にいる200人のクリエイター集団」って、
組織っぽくてわくわくしない。かっこよくない。
イメージだけどね。
プロジェクトマネジメントでも、組織でも、
計画する段階でわくわくしないとうまくいかないと思う。
会議だって、始まる前から良い会議になるかは決まっていると思う。
良い人が集まっているか、良い場所が設定されているか、
美味しい飲み物があるか、とか。
なんかもうさあ、大会議室で、机がコの字になっていて
「さあ、イノベーションを!」って言われても、だめじゃん(笑)
「Plan to fail!」(笑)
(笑)
「200人のクリエイティブ集団」はわくわくしない。
わくわくしないから、失敗する。
そう。
でも、いまやりたいことを
十分やってるかっていったら、全然だめで。
やりたいことはいっぱいあって。もっと仲間がほしい。
じゃあ、どうやったらわくわくするだろうって考えて、
これだって思ったのが、
世界20都市で私達がわくわくするところにファブカフェをつくる。
そこにいる「世界で1000人のクリエイティブ集団」だったら、
わくわくする。
東京、台北、ブラジル、インドネシア・・・、
世界のクリエイティブのネットワーク、
有機的なプロフェッショナル集団。
ロフトワークで働くメンバーは、どの都市で働きたいか選べばいい、
なんか楽しそうじゃん。わくわくするでしょ。
うん、よくわかる。
僕らも今年、「小村力研究所」っていうのをつくった。
小さな村の力の研究所。そのエッセンスは近しくて。
グローバリゼーションや中央集権体制を否定するものではないけれど、
それを完遂しようとしたら、グローバル企業が一番効率的になる。
世界が均一化していくのはつまらないし、持続可能ではないと思う。
人や地域の多様性を担保したい。
だから、ちっちゃなコミュニティが個性を発揮して、
それが世界中にあって連携する。
そういうのが楽しい。わくわくするよね。
そうなのよ、そうなのよ~。
ははは。パブカフェのママみたいになっている(笑)
いや、でもほんと。
そういう中でいっこずつでも、
できることからはじめていきたいよね。
うん、やり方も、機能も全然違うんだけど、
発想と方向性とわくわく感は一緒だから。
具体的ななにか、はじめていきましょうね。
おわり
プロフィール紹介
林千晶 Chiaki Hayashi
ロフトワークの共同創業者、代表取締役。2000年に創業したロフトワークでは、16,000人が登録するクリエイターネットワークを核に、Webサービス開発、コンテンツ企画、映像、広告プロモーションなど信頼性の高いクリエイティブサービスを提供。学びのコミュニティ「OpenCU」、デジタルものづくりカフェ「FabCafe」などの事業も展開している。またクリエイターとのマスコラボレーションの基盤として、いち早くプロジェクトマネジメント(PMBOK)の知識体系を日本のクリエイティブ業界に導入。2008年『Webプロジェクトマネジメント標準』を執筆。米国PMI認定PMP。現在は、米国NPOクリエイティブ・コモンズ 文化担当、MITメディアラボ 所長補佐も務める。
1971年生、アラブ首長国育ち。早稲田大学商学部、ボストン大学大学院ジャーナリズム学科卒業。1994年に花王に入社。マーケティング部門に所属し、日用品・化粧品の商品開発、広告プロモーション、販売計画まで幅広く担当。1997年に退社し米国ボストン大学大学院に留学。大学院卒業後は共同通信NY支局に勤務、経済担当として米国IT企業や起業家とのネットワークを構築。2000年に帰国し、ロフトワークを起業。
竹本吉輝 Yoshiteru Takemoto
1971年神奈川県生まれ。横浜国立大学国際経済法学研究科修了。外資系会計事務所、環境コンサルティング会社の設立経営などを経て、2009年、株式会社トビムシ設立。10年、ワリバシカンパニー株式会社の設立に参画。13年、株式会社東京・森と市庭を設立、代表取締役就任。専門は環境法。国内環境政策立案に多数関与。同時に、財務会計・金融の知見を加味した環境ビジネスの実際的、多面的展開にも実績多数。立法(マクロ政策)と起業(ミクロ市場)で双方の現場を知る。