志をともにするたまに会う人との話

ツクルバ中村さんと、働く場所をつくることの話。

2013年10月、スマートフォン対応のゲームの企画開発を業務とする株式会社アカツキさんが、新オフィス開設時に西粟倉村のユカハリタイルを使ってくれました。そのプロデュースを手がけたのが株式会社ツクルバ代表(CCO)の中村真広さん。もともとツクルバが運営する「co-ba library」がオープンする際も西粟倉村の床材を使っていただいています。その「co-ba library」にお邪魔して中村さんと、働く場所をつくること(特に床)の話をしてきました。
(この対談は、2014年1月におこなわれました。)
画像提供:ツクルバ

第3回 無限の床

中村

HALは本当にいいオフィスになったなぁと思っています。
(HAL代表の佐藤)道明さんは相当愛でていますよね(笑)

竹本

ああいう関係性がお客さまとできることが
最大の価値だと思っていて。
大手の流通を通じて、ある程度安い値段で欲しいだけ買える
という社会システムはあっていいけど、
顧客との関係性はつくりにくい。
日本の地域が持続可能であるためには、
地域が地域だけで地産地消でまわすのは難しい。
人モノ金情報が集まっている都市の人たちに
応援してもらうことが、とても大切になる。
中村くんが提案してくれたものって、施主が説明できる。
「いいオフィスですね」って誰かから言われた時に
森との関係も喜んで説明してくれる。

中村

そうですね。

竹本

ユカハリタイルはオフィスや、コワーキングとか
みんなで働く空間で使ってもらいたい。
木が使われることで、森に手が入って、明るくなって、
水や空気がきれいになって社会全体として豊かになっていく。
そんな社会的意義のある構造の中で、仕事ができる。
ソーシャルスタイルをカタチ創りながらソーシャルワークする。
しかも、見た目も体感的にも気持ちがいいものだったりする。
これからは、西粟倉だけでなく奥多摩でも事業を始めたので、
「東京」という同一空間でそれが実感できる。
それを理解してもらえる中村くんのようなパートナーや
施主をひとりでも増やしていきたい。

中村

気付けば僕らもユカハリをおすすめしています。
無垢の木の床って自然と土足禁止になるんですよね。
そうすると、お客さんとの距離も自然と近づく。
土足禁止のオフィスって世界中で珍しい。
僕らは日本的な場所をつくっているなあと思う。
ユカハリをひとつのきっかけに、
日本的なオフィスを提案できたらって思っています。

竹本

強要することなく、結果として
自然なカタチで土足禁止になるのがいいよね。
せっかく木なんだから、裸足で歩きたいって思う。

中村

ここ(co-ba library)も、
とてもいい空間になっています。
イベントのときも普通に床に座れるし。
ホテルじゃなくて旅館って感じですね。
西洋的だと1対1対応ですよね。
例えば、ホテルは、寝室は寝室だけど、
旅館だとさっきまで食事していた場所に、
風呂入って帰ってくると布団が敷いてある。
同じ場所が変化していく。

竹本

会議の時も、会議机って西洋的だから、
車座とかでやったらいいかもね。

中村

日本人って、西洋的な空間における
ディスカッションが苦手なだけで、
車座だったら、良い議論できるんじゃないですかね(笑)

竹本

逆に、西洋の人は車座苦手かもしれない。

中村

アカツキのオフィスの「空気が違う」みたいに
従来のスペックでは図れない価値がありますよね。
駅徒歩何分とかじゃなくて、
実際の空気の良さもそうだし、コミュニティの空気感。
そういうものを可視化したいけど、なかなかできない
でも、それをみんな求めていると思うんですよね。

竹本

個人の住まいの快適性や豊かさを可視化しているものって、
東京R不動産をはじめとしていくつかあるよね。
でも、オフィスの場合だとそれがなかなかない。
企業の総務部門が担当して、怒られないように、
リスクを最小化しながら、予算内で、
っていうスペックだけになってしまいがち。
でも、良い働く場所をつくれば、
はるかに直接的な生産性があがると思う。
そこで働くことの誇りも含めて。

中村

絶対そうだと思います。

竹本

コストが高いか安いかは、
得られるものに対して、だよね
費用対効果なんだから。
そこで得られるものを可視できるといい。

中村

結局、ひとつひとつ実際につくって、
体感してもらうのが一番いいかもしれませんね。
可視化できないものは体感してもらえばわかるから。
もっと増やしたいなあ。
ただのショールームじゃなくて、
お客さまの喜びの声ももれなくついてくる
そこは僕らの使命のひとつだと思っています。
東京のオフィスの床面積はほぼ無限なので。

竹本

うん、ぜひ。よろしくお願いします。

 
おわり

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プロフィール紹介

中村真広 Masahiro Nakamura

株式会社ツクルバ代表取締役 CCO/クリエイティブ・ディレクター。1984年生まれ。2009年東京工業大学大学院建築学専攻修了。不動産ディベロッパー、ミュージアムデザイン事務所を経て、2011年8月(株)ツクルバを共同創業。シェアードワークプレイス「co-ba(コーバ)」「co-ba library」をはじめ、原宿・神宮前のオフィス複合施設「FLAG」のクリエイティブディレクション及びプロモーション、旧町田市庁舎リノベーションプロジェクト「町田新産業創造センター」の施設デザイン監修、池袋の貸切型飲食店「1K~TOKYO SHARE DINING~」、チーズレストラン「DAIGOMI」など、場づくりの企画・設計・運営を横断したプロデュースを手がける。これまでになかった「場の発明」を通じた、ソーシャル・キャピタルの構築を目指して活動している。

竹本吉輝 Yoshiteru Takemoto

1971年神奈川県生まれ。横浜国立大学国際経済法学研究科修了。外資系会計事務所、環境コンサルティング会社の設立経営などを経て、2009年、株式会社トビムシ設立。10年、ワリバシカンパニー株式会社の設立に参画。13年、株式会社東京・森と市庭を設立、代表取締役就任。専門は環境法。国内環境政策立案に多数関与。同時に、財務会計・金融の知見を加味した環境ビジネスの実際的、多面的展開にも実績多数。立法(マクロ政策)と起業(ミクロ市場)で双方の現場を知る。