志をともにするたまに会う人との話

ツクルバ中村さんと、働く場所をつくることの話。

2013年10月、スマートフォン対応のゲームの企画開発を業務とする株式会社アカツキさんが、新オフィス開設時に西粟倉村のユカハリタイルを使ってくれました。そのプロデュースを手がけたのが株式会社ツクルバ代表(CCO)の中村真広さん。もともとツクルバが運営する「co-ba library」がオープンする際も西粟倉村の床材を使っていただいています。その「co-ba library」にお邪魔して中村さんと、働く場所をつくること(特に床)の話をしてきました。
(この対談は、2014年1月におこなわれました。)
画像提供:ツクルバ

第1回 トータルコストで安いです

竹本

アカツキさんのオフィスでは
ユカハリタイルを使ってもらって、
ありがとうございました。
実際どうでした?

中村

以前に、HALさんのオフィス
プロデュースさせてもらった時にも、
西粟倉村の床材を使わせてもらって。
その時はオリジナルのフローリングパネルを
HandiHouse projectにつくってもらったんですけど、
正直言うと、施工が大変だったんです。
今回、アカツキのオフィスは広かったので
全部やるのはしんどかった。
じゃあ既成品のユカハリタイルをそのまま使ってみよう、
となりました。
僕らとしては初めての「置くだけ施工」だったんです。

竹本

うん。

中村

結果、施工費が安くなった。
材料費だけだとフローリングより割高になるけど、
施工費はカーペットを剥いで貼るより安くなるんですよね。
現場の職人さんたちは初めての感覚だったみたいで、
「めちゃくちゃ楽だなー」って言ってました。

竹本

これだけたくさん使ってくれるのは、すごいね。
材料費が合わないってやめる会社もあるんだけど。

中村

いや、トータルコストでいったら、
この方が安いですけどね。

竹本

それ太字で言ってください(笑)

中村

特にワリバシタイルがすごく良かったんですよ。
精度も良くて、膨張、伸縮もなかった。
エントランスの一番顔になる部分が、
高解像度な木のワリバシの感じと、
クールなガラスの感じがコントラストで
バシっときまって。

竹本

それはよかったなあ。

中村

はい。それから、見た目だけじゃなくて。
そのオフィスはビルの3階にあるんですけど、
「4階から3階から降りてくると明らかに空気が違う」
って言われたんです。
「本当ですか?」なんて言って降りてみると、
たしかに違う。
たぶん湿度なんでしょうね。

竹本

無垢の木には、天然の調湿効果や調温効果があるから。

中村

だいたいが見た目だけ木の木質風(ふう)ですからね。
遠くから見て「お、木じゃん」と思ったら、木目シート。
もっと本質的にいいものをつくりたい
と思っていたので、とてもよかったです。

竹本

アカツキの(COOの)香田さんは、
西粟倉の森にも来てくれていたしね。

中村

ユカハリの提案をしたら、
「現地みなきゃいけないですよね」って
行ってくれて、「これだ!」って。

竹本

はい。森での成約率、高いですから(笑)

中村

天然ウナギやホタルの話をして、盛りあがっていました。
それで、これを機に始めたプロジェクト名も
ホタルの森とつながるプロジェクト」ってして。

竹本

日本の森の木の状況からしても、
ユカハリタイルって、すごく良い商品。
大きめの節があるとかちょっと曲がってるとか
っていう理由で使えない木がたくさんあるけど、
ユカハリタイルは2メートル直材じゃなくても、
最低限の歩留まり(費用対効果)のなかで、
50cm×10cmの板がとれれば商品にできる。
そうしたら、山にお金を還せるから、
山の手入れも進んで、好循環につながる。
それが施工現場でも使い勝手がよくて、
コストも安くなるのであれば、こんなにいい話はない。

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プロフィール紹介

中村真広 Masahiro Nakamura

株式会社ツクルバ代表取締役 CCO/クリエイティブ・ディレクター。1984年生まれ。2009年東京工業大学大学院建築学専攻修了。不動産ディベロッパー、ミュージアムデザイン事務所を経て、2011年8月(株)ツクルバを共同創業。シェアードワークプレイス「co-ba(コーバ)」「co-ba library」をはじめ、原宿・神宮前のオフィス複合施設「FLAG」のクリエイティブディレクション及びプロモーション、旧町田市庁舎リノベーションプロジェクト「町田新産業創造センター」の施設デザイン監修、池袋の貸切型飲食店「1K~TOKYO SHARE DINING~」、チーズレストラン「DAIGOMI」など、場づくりの企画・設計・運営を横断したプロデュースを手がける。これまでになかった「場の発明」を通じた、ソーシャル・キャピタルの構築を目指して活動している。

竹本吉輝 Yoshiteru Takemoto

1971年神奈川県生まれ。横浜国立大学国際経済法学研究科修了。外資系会計事務所、環境コンサルティング会社の設立経営などを経て、2009年、株式会社トビムシ設立。10年、ワリバシカンパニー株式会社の設立に参画。13年、株式会社東京・森と市庭を設立、代表取締役就任。専門は環境法。国内環境政策立案に多数関与。同時に、財務会計・金融の知見を加味した環境ビジネスの実際的、多面的展開にも実績多数。立法(マクロ政策)と起業(ミクロ市場)で双方の現場を知る。