letter
 — Vol.01

竹本吉輝から中渓宏一氏へ

August 23rd, 2013

突然にはじめた往復書簡(的なモノ)。その説明書きに、「協働する」だけでなく、「71年生まれの」と付記しているのは、一緒にできたら愉しいかも、と思(ってしま)った人、先々週からはじめた林厚見くん、そして、本日の名宛人である中渓宏一くん、そのふたりが二人とも(たまたま)同じ71年生まれだったからに過ぎない(この両者のいずれかが71年生まれでなければ、「コラボる同世代の」みたいな表現だったかもしれない)。

そんな1971年生まれの中渓宏一くんはとても(どころではなく)チャーミングだ。チャーミング、という表現が妥当でなければ他になんといったらいいのか。変態的要素は多分に(どころではないほど)もっているけれど、変態、という一言では片付けられないほど(やはり)チャーミング(なの)だ。こう云うと、宏一くんはくすぐったく思うかもしれないけれど、別に手放しで褒めてるわけではなく、単に主観的事実を綴っているに過ぎない(のだ)。けれど、先日、友人が、「中渓さんをみてると、坂本龍馬という人の自由奔放さは、あんな感じだったんじゃないかと想うんです」と(迂闊に)言ったりする客観的事実もある。天下の坂本龍馬を引き合いに出すなんてちょっと良くいい過ぎじゃねえ的に、羨ましくも妬ましく思ったりしたけれど、要は、男女の隔てなく、年齢の差異なく、国籍を問わずに、ただただ誰某からも愛くるしい存在である、ということ(が坂本龍馬的であること)は(残念ながら)得心してしまう。実際、僕自身にはまったくないキャラ要素なのだから(僕自身は、「大いなる眠り」で、かのフィリップマーローが、女性に「背が高いのね」と言われ、「僕のせいじゃない」と応える台詞に出会い、野郎はヒネててもいい、斜に構えててもネガティブじゃない、と勘違い的救済を受け、現在に至っている)。

そして、そんなチャーミングさたっぷりな宏一くんからの頼まれごとには、ついつい応え(たくなっ)てしまう。保護者の様に、兄の様に、ついついと。宏一くん自身は、バリバリの商社マンだったこともあり、世界を股に紛争地域や猛獣危険区域(?)を闊歩していたこともあり、そして現在は、いわゆる水道高熱費的ライフラインなきパタゴニアな(チリ側の)空間で家族みなの生活を支えるほどに、とても生命力の強い、どんな世の中でもサヴァイブできるであろうタフネスを備えた漢(オノコ)である。が、彼のコミュニケーション的チャーミングさがゆえ(それだけではないかもしれないが全貌は未明)、ついつい、保護者目線で、兄目線で、応えてしまう、接してしまう(のだ)。

そんな(?)中、たまには真面目な話しも(ふたりで、あるいは複数人で)する。いや、シチュエーションや話し方が不真面目なだけで、内容は真面目なことが多い(はず)。なかでも、それぞれ地球の反対側に存在する日本とパタゴニア(チリ)、両者が抱える全く異なる視点での森林(資源)問題については、その構造や具体的事象を含めてよく話す。ので、チャーミングな話しばかりでなく、(さりとてチャーミングな物言いで)地球のそれぞれから眺める様々なことをこの場でいろいろ語らえたらと思う。森にまつわる大切な(大切な)話しをベースにしつつ。

いずれにしても、年内は日本で活動するとのこと、その間に行動を共にする場面は決して少なくないはず。そして年末あるいは年明けにパタゴニアへ戻ったとして、物理的距離を余所にした具体的(私的公的な)コラボもできるはず。霧がかる水面を渡す橋の様に(先が見通せず足下さえ覚束ない、それでも在り渡す橋の様に)つながれていれたらいい、と(そこそこ本気で)思っています。
ということで、宏一くん、今後とも(日本に在れパタゴニアに在れ)よろしく。

新潟燕三条での再会を前に
竹本吉輝

photo by 井島健至

プロフィール紹介

中渓宏一 Koichi Nakatani

1971年ワシントン州シアトル生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、三菱商事に6年間勤務。日本初のe-learningベンチャーに数ヶ月転職した後に世界放浪の旅へ。世界各地の祭りを追いかける旅は、環境活動家「アースウォーカー」との運命の出逢いをきっかけにアフリカの大地を歩き、木を植える旅に。帰国後は日本列島を徒歩で二回縦断、主に小学校での植樹活動を行った。2011年に家族でチリのパタゴニアに移住、オフグリッドな森暮らしの楽しさを伝える「森かえる」プロジェクトを国内外で展開中。著書「地球を歩く、木を植える」(エイ出版)

竹本吉輝 Yoshiteru Takemoto

1971年神奈川県生まれ。横浜国立大学国際経済法学研究科修了。外資系会計事務所、環境コンサルティング会社の設立経営などを経て、2009年、株式会社トビムシ設立。10年、ワリバシカンパニー株式会社の設立に参画。13年、株式会社東京・森と市庭を設立、代表取締役就任。専門は環境法。国内環境政策立案に多数関与。同時に、財務会計・金融の知見を加味した環境ビジネスの実際的、多面的展開にも実績多数。立法(マクロ政策)と起業(ミクロ市場)で双方の現場を知る。