letter
 — Vol.07

竹本吉輝から中渓宏一氏へ4

November 22nd, 2013

宏一くん

おはよう。今朝は小樽かな。いずれ北海道の朝は寒いだろうね。広くて大きな(まさに「広大」な)北海道、宏一くんのこと、小樽に留まることなく、きっとその広大な大地を放浪してるんだと思います。

先日は、島(海士)にきてくれて。いやあ愉しかった。ホント。あっという間の3泊4日。で、改めて、中渓宏一人気を実感しました。なんたって、町営住宅な我が家に20人弱(子供入れると25人ほど)の人が、宏一くんに会いたくて集まったのだから。島に越して以来、我が家の最大来客数。実際、よく入りきった(し、宴がちゃんと成立した)よ。島を出る前の夜にも、初日に参加できなかった何人かが集まったりして。連日、とても賑やかで。
宏一くんは、そもそも、自らをアピールするのが苦手(下手?嫌い?)だし、弁が立つわけではないし。なので、自分で沢山の人を集めることも、集まった人たちに自分の実績的偉業を伝えることも苦手(下手?嫌い?)なわけだけど、中渓宏一を知る誰かが中渓宏一外伝(の概要)を事前に伝えた上、(同外伝の事前告知がゆえ)人が集まってる、という状況下においては、圧倒的パフォーマンスを発揮するよね。いやホントに。つまり、中渓宏一が自身のユニークな物語をひとり一人に丁寧に語る(語れる)、というシーン。より正確には、そのユニークな物語に喜びや愉しみを覚えた人が、その物語を紡いだ本人(のマインド)に、その覚えた喜びや愉しみの起源を尋ねる(訪ねる)、それに紡いだ本人が真摯に応える、のだからね。しかも、身体的パフォーマンス付き!そら、みな喜ぶ。よ。
僕の周りには、いわゆるソーシャル・メディア・マーケティング(SMM)の専門家というか、(相当に)プロな人が何人かいるけれど、みな、一様に云うのは、「SMMでできることは、究極のところ、その(周知の)拡散スピードを上げることのみ」ということ(もちろん、それだけにならないよう、コンテンツそのものを含めた全体デザインにコミットするのが本物のSMMのプロなわけだけど)。SMMに長けていなくても、コンテンツが本物であれば、時間がかかっても必ず広がる。伝播する。逆にコンテンツが本物でなければ、SMMを駆使したところで、本物でないことが周知されるだけ、つまり、本来的伝播(社会的価値の有機的つながり)は全くなされない。って。視聴率が番組(放映報道)コンテンツを壊していったように、いま、Facebookの「いいね」の数が個人間の本来的伝播コンテンツを壊していってる(と危惧する)わけだけど、宏一くんは、TVなどのマスメディアからはもちろん、Facebookなどのソーシャル・メディアからも(相当に)距離をおいてるよね(たまに更新するブログぐらいか)。がゆえに、形式的即時的な伝播周知は、ある意味必然的に苦手(下手?嫌い?)なわけだけど、そんなことはどうでもよくって、放浪の過程で自らが喜びと愉しみを覚えてしまったヒトモノコトに(のみ)大切な時間を使う、自らに喜びと愉しみを覚えてくれた人と(のみ)大切な時間を過ごす。それがゆえ、(あれだけ)ユニークな物語を丁寧に紡ぐことができる、んだと、改めて思ったよ。

島前高校での授業もよかった。ありがとう。高校生たちも、エライ感銘を受けていたみたいで。「人生、寄り道したっていい」という言葉は、寄り道した事実が(数多く)あるだけでは(ぜんぜん)ダメで、そんな寄り道(ばかり)の人生だから、いま(も)幸せなんだ、ということが、高校生のピュアな感性に伝播しないと(ぜんぜん)ササラないわけだけど、いやあ、しっかり高校生のハートにササッてたね。さすがです。最後は、Seedmanの真骨頂、高校の敷地に高校生たちと楓の木を植えて。ホント、晴れやかで暖かい秋の日、穏やかで優しい島の一日、でした。

次回はいつどこで会うのか、会えるのか、ちょっとわからないけど、まあまた。年内であっても年明けであっても。北海道であっても東京であっても、あるいは他のどこかであっても。

プロフィール紹介

中渓宏一 Koichi Nakatani

1971年ワシントン州シアトル生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、三菱商事に6年間勤務。日本初のe-learningベンチャーに数ヶ月転職した後に世界放浪の旅へ。世界各地の祭りを追いかける旅は、環境活動家「アースウォーカー」との運命の出逢いをきっかけにアフリカの大地を歩き、木を植える旅に。帰国後は日本列島を徒歩で二回縦断、主に小学校での植樹活動を行った。2011年に家族でチリのパタゴニアに移住、オフグリッドな森暮らしの楽しさを伝える「森かえる」プロジェクトを国内外で展開中。著書「地球を歩く、木を植える」(エイ出版)

竹本吉輝 Yoshiteru Takemoto

1971年神奈川県生まれ。横浜国立大学国際経済法学研究科修了。外資系会計事務所、環境コンサルティング会社の設立経営などを経て、2009年、株式会社トビムシ設立。10年、ワリバシカンパニー株式会社の設立に参画。13年、株式会社東京・森と市庭を設立、代表取締役就任。専門は環境法。国内環境政策立案に多数関与。同時に、財務会計・金融の知見を加味した環境ビジネスの実際的、多面的展開にも実績多数。立法(マクロ政策)と起業(ミクロ市場)で双方の現場を知る。