letter
 — Vol.10

中渓宏一氏から竹本吉輝へ5

January 17th, 2014

たけちゃん

1月も、あっという間に折り返しだね。旧年中は大変、お世話になりました。今年も益々、宜しくお願い致します。

昨年は付き合い始めたカップルの如くに、月一ペースで全国津々浦々で逢っていたから、なんだかもう、とんと逢っていない様な、そうでも無いような。今は、何処で、何方と、一献傾けているんでしょうか。

新年一発目の往復書簡。どんなテーマで行こうか。色々報告したいことはあるものの、一献傾けるなんて書いちゃったもんだから、日本酒モードにスイッチが入ってもうた。

そもそも、初めて出逢ったあの恵比寿横町でも、日本酒で盛り上がったねー。っていうか、逆に言うと、日本酒で盛り上がらなかった夜は、今迄あったのだろうか。っていう位に、全国津々浦々で、飲みましたな。日本酒。

で、「自分はなかなかの日本酒通だ」位に思っていたんだけど、この間、そんな甘っちょろい認識を吹っ飛ばされる楽しい夜があったので、その報告を。

次回、たけちゃんが家族で北海道にお越しの際には、皆で行こう。小樽の居酒屋、「島影」。いや、半端じゃないっす。そこのご主人の、日本酒に注ぐ情熱、というか、愛情が。

小さなお店の両方の壁が棚になっていて、一升瓶がズラリ。片面は冷蔵庫に入った生酒系。もう片面は室温で保存されてる純米酒やら、本醸造やら。

「純米生酒」なんて四文字を見ちゃった日には、つくづく、日本人に産まれて良かった。と思うけど、今回はこの純米生酒がどれだけ貴重なのかってことを島影のご主人に教えてもらった。

巷で売っている「生酒」は、どんなに「生」と言っても、最低一回は熱入れをしている、「燗冷まし」な生酒らしい。だから、本当に本当の「生酒」を飲む手段は、酒蔵に行って、直接樽から飲むしか無いらしい。

しかーし!、島影ご自慢の生酒、「島影生酒」は、正真正銘の生酒。しかも、なんと、はるばる新潟の酒蔵から直送されてくる。新潟で一番古い酒蔵、「加賀の井」のご主人は当代17代目。おそらく、(間違いなく)、そのご主人とマブダチな島影のご主人が特別にお願いしたお陰で、その「加賀の井酒造」から、全く火入れをしてない正真正銘の生酒が、12月から2月の3ヶ月間だけ、新潟から、小樽の外れにある、ちいーさな居酒屋、「島影」に、「島影生酒」のラベルを付けて直送されてくる。それを知ってる道産子の日本酒フリークが、わざわざ遠方から島影にその生酒を飲みにくるらしい。

そりゃもう、美味かったよ。ま、正直、火入れがどうのこうのは別にして、生酒だったらどれも美味しいと思うけど、そんなストーリーを聞きながら飲む酒は格別だった。

でね、酒の肴は、こちらが何も頼まなくても、「うん、これこれ!」ってやつを絶妙なタイミングで持って来てくれる。のに、お勘定はそこいらの居酒屋価格と来たもんだ。どうだい、島影。最高でしょ?

こんな居酒屋に出逢っちゃうと、やっぱり小樽から離れがたい。いや、離れる必要は何も無いんだけど、春からは全国で二番目に小さな市、三笠市に移るか否か、未だに思案中。

そんな折り、有り難いことに、アジア出張!に行けることに。今日はそんなことを書くつもりが、すっかり日本酒三昧な感じで、頭の中は今晩の晩酌のこと、そして、明日の夜の島影ナイトのことで一杯でごじゃります。

こんなにすんばらしい飲み物をつくっちゃう日本人はやっぱり凄い訳で、そんな日本人のネットワークがアジアで急増中、その名も華僑ならぬ「和僑」と言うらしい。

今回のアジア出張では、アジア各地で活躍中の「和僑」の方達にも出逢ってくるつもり。

この旅から戻ってくる頃には、定住地を何処に求めるか、気持ちが定まっている。といいな。

とにもかくにも、先ずは大阪での再会を楽しみにしております。

それから、繰り返しになりますが、島影生酒が楽しめるのは、2月まででございますので、あしからず。

2014年、ゆるーく楽しみましょ。

写真:雪国の冬はやっぱり、これでしょ。

プロフィール紹介

中渓宏一 Koichi Nakatani

1971年ワシントン州シアトル生まれ。青山学院大学経営学部卒業後、三菱商事に6年間勤務。日本初のe-learningベンチャーに数ヶ月転職した後に世界放浪の旅へ。世界各地の祭りを追いかける旅は、環境活動家「アースウォーカー」との運命の出逢いをきっかけにアフリカの大地を歩き、木を植える旅に。帰国後は日本列島を徒歩で二回縦断、主に小学校での植樹活動を行った。2011年に家族でチリのパタゴニアに移住、オフグリッドな森暮らしの楽しさを伝える「森かえる」プロジェクトを国内外で展開中。著書「地球を歩く、木を植える」(エイ出版)

竹本吉輝 Yoshiteru Takemoto

1971年神奈川県生まれ。横浜国立大学国際経済法学研究科修了。外資系会計事務所、環境コンサルティング会社の設立経営などを経て、2009年、株式会社トビムシ設立。10年、ワリバシカンパニー株式会社の設立に参画。13年、株式会社東京・森と市庭を設立、代表取締役就任。専門は環境法。国内環境政策立案に多数関与。同時に、財務会計・金融の知見を加味した環境ビジネスの実際的、多面的展開にも実績多数。立法(マクロ政策)と起業(ミクロ市場)で双方の現場を知る。